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2023年は兎年ですね。日本で一番有名なウサギの話と言えば、因幡の白兎ではないでしょうか。
え、ウサギとカメ?
そうとも言えますが、今回は因幡の白兎のお話に注目したいと思います。
因幡の白兎に出てくるもう一つの生き物と言えば「ワニ」ですよね。
この「ワニ」が爬虫類の「鰐(わに)」ではなく、「サメ」のことを指すんだよ、というのは絵本などでも描かれて広く知られています。
はたして本当でしょうか?
この得体のしれない「ワニ」という生物について考察していきたいと思います。
この記事では、紛らわしさを避けるために次のように統一しています。
- 因幡の白兎などの神話に出てくる何か=ワニ
- 爬虫類・ワニ目に分類される大型の動物=鰐
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因幡の白兎に出てくるワニ
因幡の白兎ってどんなお話?
因幡の白兎は古事記に登場するお話です。
古事記は日本最古の歴史書で、712年に編纂されました。
因幡の白兎のお話は、大国主命が日本の国を創るまでのエピソードのひとつとして紹介されています。
古事記では「稲羽之素兎」と記されています。
誰もが知っている因幡の白兎ですが、簡単に内容をおさらいしておきたいと思います。
~昔、「稲羽(因幡)」の国の「淤岐嶋」という島に一匹のウサギが住んでいました。
ウサギは「和邇(ワニ)」の数を数えてあげるとだまし、ワニの背中を飛び石代わりに海を渡ることに成功しました。
しかし、最後の最後でだましていたことを言ってしまったため、ワニの怒りを買い、ウサギは毛皮を剥がれてしまったのです。
そこに通りかかった大国主命のお兄さんたちは、面白がってウサギに嘘の治療法を教え、ウサギの傷は大悪化!
瀕死のウサギの前に今度は大国主命が通りがかり、正しい治療法を教えてあげたので、ウサギの傷は完治しましたとさ~
ワニが何であるかを考察するにあたって、物語の中で注目すべきポイントは次の3つです。
- 海に「和邇(ワニ)」という生物が複数いた
- ワニはウサギの毛皮を剝いでしまうほど凶暴
- 物語の舞台は「稲羽(因幡)」の国である
因幡の白兎の舞台
因幡の白兎の舞台になったのはどこでしょう。
実は絶対にここだ!という場所はありません。
「稲羽」が「因幡」のことであるかどうかがはっきりしないからです。
しかし、一般的には「因幡」のことであると考えられています。
因幡というのは現在の鳥取県にあたります。
舞台とされる地には白兎を主祭神とする白兎神社があります。
神社の目の前には白兎海岸が広がり、沖には「淤岐嶋」とされる島も見えます。
この「淤岐嶋」についても隠岐の島のことであるなど諸説あります。
ワニはサメのこと?
鰐は主に熱帯から亜熱帯にかけての川や沼に生息しており、日本にはいません。
古事記が書かれた時代にも生息していませんでした。
ワニとは一体何なのでしょうか。
ワニという言葉が大陸から日本に伝わったのは飛鳥時代のころと考えられています。
日本には鰐がいないので、ワニは恐ろしい怪物のことを指す言葉となりました。
恐ろしいものと言ったらサメだ!ということで、次第にワニという言葉にサメを当てはめるようになったのです。
山陰地方などでは、今でもサメのことをワニと呼んでいるところがあります。
因幡の白兎は光村書店が発行する小学二年生の教科書に載っています。
先生にお話を読んでもらって、それについて話し合いましょうというスタイルでの掲載です。
ここでは「ワニ=サメ」とされており、挿絵もサメを踏んでいくウサギの姿となっています。
ワニザメ説
因幡の白兎の現代語訳では、ワニが「ワニザメ」として登場することもあります。
ワニザメという種類のサメはいません。
ここで言うワニザメとはサメのことです。
ワニザメが指すサメは地方によって異なり、山陰地方では大型のサメ全般を指しています。
戦前の小学校の教科書にも因幡の白兎のお話は掲載されていました。
歴史学者の喜田貞吉はこの教科書の中で因幡の白兎のワニを「ワニザメ」と書きました。
以来、「ワニ=ワニザメ=サメ」という説が一般的になったのです。
ワニは鰐のこと?
かつて日本列島にも鰐が生息していました。
34万7000年前の地層から鰐の化石が見つかっています。
しかし、鰐は氷河期に絶滅し、いなくなったとされています。
現代でも、ごくまれにイリエワニが日本に漂流することがあります。
鰐は本来淡水または汽水域に生息しますが、イリエワニは少しであれば海で活動することもできるのです。
因幡の白兎の話ができた際に、日本人が鰐を知っていた可能性はゼロではないのです。
因幡の白兎と同様の話は、インドや東南アジアを中心に各地に見られます。
インドや東南アジアには鰐がいるので、これらのお話にでてくるワニは紛れもなく鰐なのです。
内容は川にいるワニを、猿や鹿などの動物が知恵を使って退治するというものです。
因幡の白兎の話は、これをもとに、神様がウサギを助けるという独自の話を付け加えたものであると考えられます。
そして鰐の生態をよく知らなかったため、舞台は海になったのでしょう。
平安時代の辞書に「和邇(ワニ)」について書かれた項目があります。
これによるとワニとはスッポンに似て足が4本ある、とされていて明らかにサメとは異なることがわかります。
また、ワニとは別に「佐米(サメ)」の項目もあり、平安時代にはすでにサメと鰐は別のものとして理解されていたことがわかるのです。
【結論】結局ワニはサメなのか
結局ワニはサメなのでしょうか?それとも鰐なのでしょうか?
それは今もなお議論が分かれるところなのです。
因幡の白兎のワニがサメか鰐かは決着が付いていない
サメを食べる
中国地方山間部のワニ料理
中国地方の山間部ではワニが食卓にのぼります。
ここでのワニはサメのことで、この地方では現在でもサメの肉をワニと呼んで食べているのです。
ワニはスーパーでも並ぶほど地域に根付いた食材で、刺身を筆頭に、湯引き、煮つけ、揚げ物などさまざまな調理法で食されます。
特にお祭りやお正月の料理として愛されています。
かつて冷凍技術が発達していなかったころ、山間部で生の魚介類を手に入れることは大変むつかしいことでした。
サメは身にアンモニアを多く含有するため、腐りにくくく、冷凍しなくても半月は生で食べることができると言われています。
江戸時代に、山陰の漁港でとれたサメが中国地方の山間部に運ばれるようになり、生食できる魚として親しまれるようになったのです。
全国にあるフカ料理
サメの別名であれば「フカ」の方が一般的でしょう。
広く西日本でサメはフカとも呼ばれています。
サメの仲間には「ネムリブカ」や「ドタブカ」のように標準和名に「フカ」が付くものもいます。
「フカ」の名前でサメを食べたことがある、という方は多いのではないでしょうか。
「フカヒレ」は大型のサメのひれのことですが、中国料理の高級食材として広く知られています。
九州や瀬戸内地方では、サメの肉を湯引きにして酢味噌などで食べます。
これは「フカの湯引き」などと言う名前でスーパーでも販売されており、比較的安価な一品料理として人気です。
しまね海洋館アクアスでサメを見る
アクアス「ワニ=サメ説」を推す
しまね海洋館アクアスは島根県にある中四国最大級の水族館です。
サメに加えて、珍しいシロイルカや4種のペンギンなど約400種1万点の生物を展示しています。
建物の外観はサメをイメージして作られていることからも、サメの展示に力を入れていることがわかります。
神話の海ゾーンはアクアス1階にあるメインの大型水槽で、「しまねの神話にゆかりの深いワニ(サメ)をシンボルにした大水槽空間」(アクアスホームページより引用)となっています。
つまりアクアスは「神話のワニ=サメ」ととらえて、サメをシンボルとした水槽展示をしているというわけですね。
この水槽にはドタブカ・アカシュモクザメ・メジロザメ・レモンザメ・ドチザメ・ネコザメなどのサメがいます。
水槽の一部がトンネル型になっていて、まるで神話時代の海に潜り込んだかのような体験ができる工夫がされています。
ぜひアクアスで神話の海を体験し、いにしえの日本を感じてみてください。
しまね海洋館アクアス基本情報
場所 | 島根県浜田市久代町1117番地2 |
営業時間 | 通常期9:00~17:00 繁盛期9:00~18:00(7/20~8/31) |
休館日 | 毎週火曜日 ※春休み、ゴールデンウィーク、夏休み(7/20〜8/31)、年末年始は休まず開館 |
公式サイト | 島根県立しまね海洋館アクアス (aquas.or.jp) |
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