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学校給食でクジラを食べたことがありますか?
これ、世代によって分かれると言われていますが、地域によっても大分異なります。
とは言え商業捕鯨が禁止されていた30年あまりの間、クジラ給食を食べたことがある人は少なかったはず。
しかし、なんと今、学校給食にクジラメニューが復活していると言うではありませんか。
昭和世代にはなつかしい、令和世代には新しい、そんなクジラ給食の今をご紹介します。
いつまでクジラは給食に出ていたの?
戦後の利用
第二次大戦後、食糧難であった日本では十分な量の豚肉や鶏肉を手に入れることができませんでした。
そこで利用されたのがクジラ肉でした。
当時はクジラ漁も禁止されていなかったので、安価で栄養価の高い食材として戦後の食卓を支えました。
クジラ肉は給食のメニューの大定番としても親しまれてきました。
商業捕鯨の禁止
1970年代になると、欧米で捕鯨に反対する運動がおこります。
それにともなって日本でのクジラ給食も減っていきました。
1987年に南極海での商業捕鯨が禁止されると、クジラ肉は学校給食からその姿をほとんど消すこととなりました。
クジラ給食の復活
伝統的食文化の継承
日本は2019年に国際捕鯨委員会(IWC)を脱退しました。
それにより、1987年から禁止されてきた商業捕鯨が再開されました。
実は調査捕鯨が禁止されていた期間にも、調査を目的とした捕鯨は行われていました。
また、IWCの管理の対象となっていない小型クジラの漁も続けられてきました。
クジラ肉は解体処理施設や調査捕鯨の基地のある地域を中心に出回り、伝統的食文化の継承を目的として一部給食でも提供されていたのです。
【くじらの解体処理場設置場所】
網走・函館(北海道)鮎川(宮城)和田(千葉)太地(和歌山)
【調査捕鯨母港】
下関(山口)
クジラ給食の拡大
商業捕鯨再開により、クジラ肉の学校給食利用を増やそうという取り組みが行われています。
伝統的な鯨食文化を守り、持続的なクジラの利用を図るため、学校給食で積極的にクジラ肉を使っていこうということになったのです。
商業利用の開始により、クジラが無制限に獲れるようになったというわけではありません。
水産庁が科学的に算出した捕獲枠によって年間の捕獲量が決定されます。
クジラ肉はなかなか流通しない現状もあり、給食でクジラを食べる機会は子どもたちにとって大変貴重なものです。
クジラ給食のメニュー
クジラの竜田揚げは昭和時代から学校給食の定番メニューで、食べたことがある!という方も多いのではないでしょうか。
クジラの竜田揚げは捕鯨文化の残る和歌山県の郷土料理で、味付けをしたクジラ肉を油で揚げたものです。
現在の学校給食でも一番提供されているメニューとなります。
油で揚げたクジラ肉にケチャップやウスターソースなどで作ったたれをからめたものです。
昭和の給食では定番の人気料理でしたが、今でも大阪などで提供されています。
学校給食の「ノルウェー風」という料理には、もともとナッツが使われていましたが、クジラ肉とナッツをあわせた料理に人気がなかったため、ナッツは抜かれるようになったそうです。
そこから単に揚げた食材にケチャップをベースとしたたれをからめた調理法を「ノルウェー風」と呼ぶようになりました。
鯨食文化の濃く残る北海道や長崎県では、クジラカレーのメニューも人気です。
長崎県は江戸時代の古式捕鯨の中心地で、現在も都道府県ごとのクジラ肉の消費量ナンバーワンです。
このように昔から鯨食文化のある地域では、学校給食でもさまざまなメニューで年に複数回クジラ肉が取り入れられています。
クジラ肉って美味しいの?
クジラ肉の栄養価
クジラ肉は高タンパク、低脂肪で低カロリーのへルーシー食材です。
鉄分やDHA、コラーゲンなどの美容や健康に良いとされる栄養素も豊富に含んでいます。
また、クジラ特有の「バレニン」という栄養素を大量に含んでおり、高い疲労回復効果が認められています。
クジラ肉は、食物アレルギーをおこしにくい食品です。
卵や肉類、牛乳など動物性タンパク質アレルギーを持つ方へのタンパク源として重要な役割を担っています。
- 筋トレやダイエット、美容に
- 生活習慣病の予防、改善
- タンパク質系アレルギーをもつ方への代替食品として
食べられるクジラの種類
IWCが管理している大型のクジラを「大型鯨類」、それ以外のおもに小型のクジラ(イルカを含む)を「小型鯨類」と呼んでいます。
日本では大型鯨類のミンククジラやイワシクジラの肉が人気です。
大型鯨類は小型鯨類に比べてクセがなく、馬肉のような味わいが特徴です。
流通量はニタリクジラが一番多く、学校給食でも利用されています。
小型鯨類は、日本がIWCに加盟していた時も管理の対象ではなかったので漁が続けられてきました。
ツチクジラは古来より和歌山県や千葉県など伝統的に捕鯨が行われている地域で好まれています。
クセが強いと言われますが、新鮮なツチクジラは臭みもなく大変美味なのだそうです。
一方、ネズミイルカのように食用には向かない種類もいます。
クジラ肉の部位
- 舌・・脂肪の多い高級部位。さえずりとも言う。かつてはコロというおでんだねに加工されていた。
- 鹿の子・・下顎まわりの肉で鹿の子状にさしが入っている。希少部位。刺身やはりはり鍋で。
- 畝須・・下顎から腹にかけて筋のある部分。脂がのっており、クジラベーコンの材料。
- 赤肉・・背や腹の身。刺身や焼き物、竜田揚げなどさまざまに利用される。
- 本皮・・クジラの皮下脂肪。刺身やはりはり鍋、みそ汁などで。
- 内臓・・茹でて食べる。
- 尾肉・・絶品とされる高級部位。刺身や焼き肉で。
- 尾羽・・尾びれの部位。サラシクジラと呼ばれる湯引きにして、酢味噌で食べる。
学校給食では冷凍の赤肉が使用されます。
クジラ肉を提供している和歌山県学校給食会によると、美味しく食べるコツは、前日から自然解凍すること。
しっかりと解凍することにより柔らかく食べることができます。
クジラ肉は古代から日本人が利用してきた大切な資源です。
食べるからには美味しくいただきたいですね。
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