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水族館や動物園のペンギンコーナーで、最もよく見かけるペンギンと言えばフンボルトペンギンですね。
寒い所にいるイメージのあるペンギンですが、フンボルトペンギンの展示場は野外であることが多いです。
つまり、日本の気候下で生活できるということ。
フンボルトペンギンは暖かい地域に生息する南米原産のペンギンなんです。
日本ではたくさん見かけるフンボルトペンギンですが、実は野生のものは急速に数を減らしていて、絶滅危惧種に指定されています。
そんなフンボルトペンギンの現状についてまとめました。
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フンボルトペンギンは絶滅危惧種
フンボルトペンギンとは
フンボルトペンギンは、南米大陸のチリやペルーの沿岸部に生息するペンギンです。
「フンボルト」は近代地理学の祖とされるアレクサンダー・フォン・フンボルトから由来しており、彼が調査を行ったことから名づけられたのが、ペルー沖を流れるフンボルト海流です。
フンボルトペンギンはフンボルト海流沿岸域に生息するペンギンであることからその名前が付きました。
外見的には目やくちばしの周りが広くピンク色をしているのが特徴です。
このピンク色の部分は肌が露出したもので、身体の熱を逃し、体温調節をする役割を持っています。
また、胸には太く1本の黒い帯状の模様があります。
同じケープペンギン属のケープペンギンやマゼランペンギンとはよく似ていますが、ピンクの皮膚の広さや、帯状の模様の太さや数から見分けることができます。
- フンボルトペンギン・・ピンクの皮膚がくちばし周りにまで及ぶ。胸の模様は太く1本。
- ケープペンギン・・ピンクの皮膚は目の周りとくちばしの上。胸の模様は細く1本。
- マゼランペンギン・・ピンクの皮膚は目の周りとくちばしの上。胸の模様は2本。
野生のフンボルトペンギンの現状
フンボルトペンギンはグアノという地層や、岩の隙間やサボテンの根元に巣を作り繁殖します。
グアノとは海鳥やアザラシの糞などが長い期間にわたり堆積して化石化したものです。
グアノは肥料として利用できることから、19世紀半ばから20世紀初頭にかけて、大量に採掘され、欧米諸国に輸出されました。
その結果フンボルトペンギンの巣をつくる場所が奪われ、急激に数を減らしてしまいました。
その後も、さまざまな要因が重なって、フンボルトペンギンは数を減らし続けました。
フンボルトペンギンはグアノが破壊される前には100万羽程度生息していたと考えられていますが、1982年には1万6千~2万羽、2005年には1万羽程度まで減少したとみられています。
現在、フンボルトペンギンは絶滅危惧種に指定され、保護の対象となっています。
- グアノ(栄巣地)の破壊
- エルニーニョ現象による海流温度の上昇
- 人間の漁業活動によるエサの減少
- 人間が持ち込んだ外来生物による卵やヒナの捕食
日本のフンボルトペンギン事情
フンボルトペンギン日本に順応する
日本でフンボルトペンギンの飼育が始まったのは1915年のことです。
日本に初めてペンギンを紹介したのは新井白石だった~ペンギンの歴史~日本の気候がフンボルトペンギンの故郷の気候と似ていたため、飼育のしやすさからどんどん導入する施設が増えていきました。
飼育下での繁殖にも次々と成功し、現在では日本全国で1800羽以上のフンボルトペンギンが飼育されています。
フンボルトペンギン増えすぎる
野生のフンボルトペンギンは絶滅が危惧される状況にありますが、日本では逆に増えすぎて困っているという現実があります。
フンボルトペンギンは周年繁殖可能で、通常一度に2個の卵を産みます。
日本の動物園や水族館の優れた飼育環境と繁殖技術により、毎年たくさんのヒナたちが誕生します。
飼育を続けるうちに、フンボルトペンギンの数はあまりにも増えてしまったため、飼育数を調整しなければならない事態となっています。
卵が産まれると「擬卵」と呼ばれる石膏などでできた偽の卵とすり替えて抱卵させ、増えすぎないように抑制しているということです。
フンボルトペンギンの飼育技術を現地へ
フンボルトペンギンの故郷である南米の動物園や水族館では、飼育下の個体数を増やし、将来的に野生復帰をさせようという取り組みが始まっています。
そこで、日本でもこの取り組みに協力し、これまでに培った日本の高い飼育繁殖技術を現地の施設に伝えるという活動が行われているのです。
日本の研究者などからなるNGO団体「ペンギン会議」がチリの飼育担当者を日本に招いて研修を行ったり、孵卵器を送るなどの方法で支援をしています。
また、下関市にある水族館・海響館や、埼玉県こども動物自然園では、チリのメトロポリタン公園(動物園)と協定を交わし、これら2施設はメトロポリタン公園から「生息域外重要繁殖地」として認定を受けています。
海響館は世界初の冷凍精子によるフンボルトペンギンの人工授精にも成功しました。
このような高い繁殖技術が伝わり、現地のフンボルトペンギンの個体数回復につながることに期待しましょう。
もちろん、それだけではペンギンたちの未来は安泰とは言えません。
ペンギンたちの生活環境を守り、共生できる社会を目指したいですね。
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