コウテイペンギンのいる水族館は2か所だけ!アドベンチャーワールドではヒナの誕生も

コウテイペンギンに会える水族館

コウテイペンギン(別名エンペラーペンギン)という名のペンギンがいます。

「皇帝」だなんてなんとも高尚で強そうな感じがしますが、一体何をもって「皇帝」なのでしょうか。

最近ではなんでも「すごーい」と肯定してくれるコウペンちゃんをはじめ、キャラクターやぬいぐるみなどでも人気となっていますね。

そんな人気のコウテイペンギンですが、日本で見ることが出来るのは、なんと2か所だけなんです。

しかし、過去には繁殖に成功した例もあり、タイミングがあえば可愛いヒナにも会うことができるかもしれません。

コウテイペンギンの魅力と、飼育されている施設についてご紹介します。

コウテイペンギンの顔

コウテイペンギンの名前の由来

最大のペンギン

コウテイペンギンは世界最大のペンギンで、体長120cm・体重40㎏にもなります。

中型のペンギンであるヒゲペンギンと並べるとこんな感じに・・

コウテイペンギンとヒゲペンギン
コウテイペンギンとヒゲペンギン

ヒゲペンギンは体長72cm・体重4~7㎏ほどの大きさです。

まさにコウテイ(皇帝)の名にふさわしいビッグサイズのペンギンですね。

キング(王様)ペンギンとコウテイペンギン

王様と皇帝

1778年、亜南極の島々で体長95cmにもなる大きなペンギンが発見されました。

それまでに見つかったどのペンギンよりも大きいペンギンであったため、「オウサマ(王様)ペンギン」と名づけられました。

オウサマペンギンは「キングペンギン」とも言われます。

しかし、その後1844年に南極大陸でさらに大きいペンギンが発見されたのです。

オウサマよりもさらに大きいペンギン、ということで「コウテイ(皇帝)ペンギン」と名づけられました。

コウテイペンギンとオウサマペンギンの違い

コウテイペンギンとオウサマペンギンはよく似ているのですが、大きさのほかにも見分けるポイントがいくつかあるのでご紹介します。

コウテイペンギンとオウサマペンギンの違い
  • コウテイペンギンは身体がひとまわり大きい
  • オウサマペンギンは小顔
  • コウテイペンギンはくちばしやフリッパー(翼)が短い
  • 首まわりや胸の色味が異なる
  • ヒナの形状が全く異なる
コウテイペンギンとオウサマペンギンの違い

コウテイペンギンのおもしろい生態

お腹ですべる

コウテイペンギンは40㎏という巨体で、素早く歩くことができません。

そのため、氷の上を移動する時は腹ばいになって、お腹で滑りながら移動します。

この行動は「ドボガン滑り」と呼ばれています。

ドボガンというのは、イヌイットなどが使う簡易的なそりのことです。

ドボガン滑りを行うことで、コウテイペンギンは体力を温存しながら遠い海まで移動することができるのです。

ドボガン滑りはアデリーペンギンなどでも見られますが、重量がないのであまりスピードがでません。

ペンギンでも寒い

ペンギンと言えば寒いところに棲んでいる、というイメージがあります。

温暖な地域に棲む種類もいますが、実際にコウテイペンギンは南極大陸に生息しているわけです。

寒くないのかと思いきや、そこはマイナス60度にもなるという南極。ペンギンたちも寒いようです。

コウテイペンギンたちは寒い日にはかかと立ちをして足が地面に触れる面積を小さくしてしのぎます。

さらにブリザードの吹き荒れるような極寒の日には、ペンギン同士が固まって暖をとります。

この行動は「ハドリング」と呼ばれています。

ハドリングでは、ペンギンの体温によって内側は10度以上温まり、特に温かくなる中心部と吹雪のあたる外側を交代して寒さをしのぐのです。

コウテイペンギンの子育て

野生下での過酷な子育て

コウテイペンギンの卵
 卵Didier Descouensさんによる作品です。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)

コウテイペンギンは真冬の南極大陸の氷の上で子育てを行います。

そのため、子育ては大変過酷なものとなります。

3~4月ごろになると海から遠い繁殖地に集まり、5~6月にメスが直径12cm・重さ460gほどの卵を1つだけ産みます。

この時期は南半球では秋から冬にあたります。

コウテイペンギンは巣を持たず、オスが卵を足の上に乗せ、「抱卵嚢」と呼ばれるお腹のポケット状の皮で包んで温めます。

極寒の中、オス同士で身体を寄せ合い抱卵を続け、卵は65日ほどでふ化します。

メスはと言うと、産卵後すぐにエサを獲りに海へ向かいます。

メスが戻って来ると、すでにヒナが生まれていて、オスと交代してヒナの世話を行います。

メスは胃に貯めておいた魚を吐き出し、エサとしてヒナに与えます。

オスは繁殖からメスが戻るまでの90~120日間にもわたり、雪以外のものを口にすることができない断食状態となります。

その結果オスは40%も体重が減少してしまいます。

メスも産卵までの絶食で22%ほど体重が減ります。

このことから、コウテイペンギンは「世界で最も過酷な子育てをする鳥」と言われています。

ヒナの巣立ち

ふ化したばかりのコウテイペンギンのヒナは300g程度と小さく、親の抱卵嚢の中で寒さをしのぎます。

一月あまりすると、「クレイシ」というヒナだけの集団をつくります。

ヒナの身体も大きくなり、エサの量も増えて、両親ともにエサを獲りに行かなくては間に合わないほどになるのです。

ヒナたちはヒナ同士で固まって暖をとり、両親の帰りを待ちます。

コウテイペンギンは巣を持たないので、鳴き声によってわが子を探します。

ヒナも両親の鳴き声を聞き分けることができます。

漁から帰って来た親が鳴くと、ヒナは居場所を伝えるように鳴いてこたえます。

こうして無事親子は出会い、ヒナはエサをもらうことができるというわけです。

春になると赤ちゃんの羽から子ども羽へと生え変わり、およそ生後150日で巣立ちます。

さらに一年すると大人の羽へ生え変わります。

その後5歳で性成熟を迎え、30年~40年ほどの寿命を持つとされています。

水族館での繁殖

日本の水族館において、コウテイペンギンの繁殖に成功しているのはアドベンチャーワールド(和歌山県)のみです。

2004年に初めてヒナが誕生し、世界でも2園目となる快挙でした。

名古屋港水族館でもアドベンチャーワールドとのブリーディングローン(繁殖を目的とした動物の交換)などによって、卵が産まれましたが、ヒナの誕生には至っていません。

次の映像は2021年10月1日にアドベンチャーワールドで通算15匹目となるコウテイペンギンのヒナが誕生した時の様子です。

次のヒナ誕生にも期待したいですね。

コウテイペンギンのいる水族館

水族館のコウテイペンギン

日本でコウテイペンギンを飼育・展示しているのは2か所だけです。

これら2か所の施設では、アデリーペンギンなど一般的な大きさのペンギンも展示されているのでぜひ大きさを比べてみてください。

名古屋港水族館

名古屋港水族館にいるペンギン

  • コウテイペンギン
  • ジェンツーペンギン
  • アデリーペンギン
  • ヒゲペンギン
  • ケープペンギン

名古屋港水族館基本情報

場所愛知県名古屋市港区港町1-3
営業時間日によって異なる
休館日不定休
公式サイト名古屋港水族館ホームページ<公式> (nagoyaaqua.jp)
入館料大人・高校生:2030円、小・中学生:1010円、4歳以上:500円

割引あり/

アソビュー!サイトにリンクします

アドベンチャーワールド

アドベンチャーワールドにいるペンギン

  • コウテイペンギン
  • オウサマペンギン
  • ミナミジェンツーペンギン
  • アデリーペンギン
  • ヒゲペンギン
  • キタイワトビペンギン
  • コガタペンギン
  • ケープペンギン

アドベンチャーワールド基本情報

場所和歌山県白浜町堅田2399
営業時間10:00~17:00
※夜間特別営業あり
休館日水曜日を中心に不定休
公式サイトアドベンチャーワールド (aws-s.com)
入館料大人(18歳以上):4800円、中・高校生:3800円、4歳~小学生:2800円、65歳以上:4300円
チケットは公式サイトまたは窓口にて販売

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