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ペンギンには現在6属19種がいますが、中でもアデリーペンギンは日本でも人気のペンギンです。
ぽってりした身体に白と黒のツートンカラーで、どこを見ているかよくわからない目も可愛いですよね。
そんなアデリーペンギンの可愛いだけではない、ちょっぴり(?)恐ろしい裏の顔をご紹介します。
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アデリーペンギン基礎知識
アデリーペンギンとは
アデリーペンギンは体長70cm~最大で75cmほどの中型のペンギンです。
オスとメスで顕著な違いがないため、見分けるのは非常に難しいです。
一見白目に見えるところは、アイリングと呼ばれる白い羽毛です。
食性は肉食で、海でオキアミや小さな魚を獲って食べます。
ヒョウアザラシを天敵としており、卵やヒナはトウゾクカモメに狙われます。
アデリーペンギンはどこに生息しているの?
アデリーペンギンは南極大陸周辺に生息しています。
南極大陸で繁殖活動を行うのは、アデリーペンギンとコウテイペンギンの2種のみ。
コウテイペンギンが極寒の冬に繁殖するのに対し、アデリーペンギンは夏のあいだに南極海岸全域と周辺の島々で繁殖します。
日本の昭和基地の近くにもアデリーペンギンの営巣地があり、個体数の調査などが行われています。
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アデリーペンギンの名前の由来は?
1840年、フランス人探検家のデュモン・デュルヴィルが南極大陸に上陸しました。
その時彼が発見した海岸は、妻の名前にちなんでアデリー海岸と名づけられました。
そこにいたのが何とも愛らしいツートンカラーのペンギンたち。
このペンギンたちにはアデリーペンギンという名前が付けられたのでした。
アデリーペンギンのいる水族館
ペンギンのキャラクターは数多くあれど、一番モチーフとされているのはアデリーペンギンでしょう。
誰もが知っているJR東日本のSuicaのペンギンもアデリーペンギンですね。
Suicaのペンギンは南極から東京にやってきた設定で、持ち主のICカードの分身であるため名前はないそうです。
どうでもいい話ですが、私が自画像に使っているのもアデリーペンギンです。
このように、ザ・ペンギンの地位を確立してきたアデリーペンギンですが、実は日本の水族館での飼育は多くはありません。
八景島シーパラダイス、名古屋港水族館、海遊館、アドベンチャーワールドの4館でのみ見ることができます。
アデリーペンギンの裏の顔
アデリーペンギンの性格が怖い
アデリーペンギンはかわいらしい風貌とは裏腹に、気が荒く、攻撃的な性格をしています。
頭の羽毛が逆立って、シルエットが三角になっていたら大変!興奮している証拠です。
さらに興奮すると白目を剝くことも。
白目っぽく見えている羽毛の部分の中に、本当の白目が見える状態になります。
水族館でもペンギン同士の闘いはちょくちょく見られます。
突如ほかのペンギンにキレて襲いかかっているのを見たことがありますが、容赦ない感じがしましたね。
フリッパーでの攻撃は、人間でもまともに食らうとアザができる(時に骨が折れる)レベルで痛いそうですよ。
盗みをはたらくアデリーペンギン
初夏になると、アデリーペンギンが沿岸部の高台に集まり、繁殖活動に入ります。
アデリーペンギンたちはそれぞれ小石を高く積んで巣を作ります。
南極大陸では、夏でも雪が残っていて、もし低い巣であれば冷たい雪解け水が流れ込んで卵が死んでしまいます。
アデリーペンギンたちは少しでも高くて安全な巣が欲しいところ。
しかし、小石の数は限られていて、あちこちで石を巡る争いが繰り広げられます。
時にはほかのペンギンの巣から石を持ち去る泥棒ペンギンも。もちろん見つかれば殴り合いの大ゲンカです。
ファーストペンギンは落とされたペンギン
ビジネス用語に「ファーストペンギン」という言葉があります。
誰もやったことがないことを最初に行う人のことを指し、リスクをとることで先行者利益が得られる、と言った意味です。
しかし、実際のファーストペンギンはそんな勇敢な心を持ったペンギンではありません。
アデリーペンギンたちは、集団の中で最初に海へ飛び込むのを嫌がります。
天敵のヒョウアザラシが崖の下で待ち構えているかもしれないからです。
自分が最初になりたくないペンギンたちが揉み合って、ワチャワチャしているうちに、一羽のペンギンが押されて海へと落ちます。
残りのペンギンたちはじっと成り行きを見て、安全を確認してから海へと飛び込むのでした。
これは、アデリーペンギンに限ったことではありませんが、ペンギンたちにはリーダー的な存在はおらず、集団でいると敵に狙われにくいという理由から行動をともにしています。
海でヒョウアザラシに出会ったら、扇のように広がってそれぞれ別方向に逃げることで、捕まるリスクを減らしています。
ファーストペンギンは自分本位なペンギンたちの生きる知恵から生まれた犠牲者だったのです。
モテないアデリーペンギンのオス、暴徒化する
繁殖地に集まったアデリーペンギンたちは、次々とつがいになってゆきますが、中にはあぶれてしまうペンギンもいます。
つがい相手を得ることができなかったオスは、繁殖地をぶらぶらするようになります。
南極大陸は非常に寒いので、ペンギンの死骸は数年保たれ、繁殖地に散乱しています。
つがい相手のいないオスは、なんと死骸相手に交尾行動をとります。中には幼い亜成鳥の死骸を相手にするものまでいます。
そのようなオスたちに、つがいのメスが亡くなってしまったオスも加わって、数羽から十数羽で集まり、暴徒化するようになります。
暴徒化したオスたちはメスやヒナたちにとって脅威です。
ある時は傷ついたメスを集団で次々に襲い、ある時は小さなヒナにも襲いかかります。
小さいヒナは成鳥のオスに交尾行動をとられると、押しつぶされ、命を落としてしまいます。
そのようなオスは天敵であるはずのトウゾクカモメ以上の脅威となっています。
これらのアデリーペンギンの行動については、1910年代にイギリスの探検家レビック博士が記録しています。
しかし、当時としては内容があまりに酷であったため、正式な探検報告書からは除外されました。
かわいらしい姿で愛されるアデリーペンギンですが、閲覧禁止レベルの一面を持っていたのでした。
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