【海遊館】太平洋に放流されたジンベエザメはどうなる?

海遊館のジンベエザメ放流でどうなる

2024年10月2日から3日にかけて、海遊館で約5年ぶりともなるジンベエザメの入れ替えが行われました。

新しくやってきたのはオスのジンベエザメ「(新)海くん」、故郷の海に帰ることとなったのは「(旧)海くん」です。

どちらも海くんでややこしいですが、海遊館のオスのジンベエザメは代々「海くん」を継承することになっていて、(新)海くんで8代目です。

今回は、海に帰るという(旧)海くん、つまり7代目海くんが海遊館を卒業した後、一体どうなるのかまとめてみました。

ジンベエザメの放流

放流された海くん

7代目海くんは2019年9月に高知県室戸市沖の定置網に入網し、同10月から約5年間にわたり、海遊館で飼育されてきました。

入館時は体長4.2m、推定体重700㎏ほどだったものが、約5年で体長5.9m、推定体重1550㎏にまで成長しました。

このように大きく成長し、体調も良いことから、7代目海くんを生まれ故郷の太平洋に放流し、新たに8代目海くんを海遊館に迎えることが決まりました。

ジンベエザメが海遊館を卒業するタイミングは、身体の成長具合のほか、水族館の暮らしが性に合うかどうかなどを鑑みて決められるそうです。

もう1匹のジンベエザメ「遊ちゃん」(メス)は7代目海くんが海遊館に来る前の2014年から10年以上暮らしています。

7代目海くんは、海遊館から11時間かけて高知県土佐清水市まで水槽入りのトレーラーで移動しました。

その後、健康状態を確認したり、海水に慣れさせたうえで、船で太平洋沖まで運ばれ、放流されました。

放流された海くんは、放流後1か月間にわたり、バイオロギングという調査が行われます。

ジンベエザメ海くんの成長

バイオロギングとは

バイオロギングとは、野生生物にデータロガーと呼ばれる小型の記録装置を付けて、その行動を観測する手法で、ジンベエザメだけでなく、海棲哺乳類や魚類鳥類などに用いられています。

海洋生物の行動は普段人間が目にすることができないので、まだまだ謎につつまれています。

バイオロギングによって、これまで解明されてこなかったさまざまな生物の生態を明らかにすることができると期待されています。

海遊館では、研究施設のある高知県の定置網に入網したジンベエザメにデータロガーを取り付け、主に回遊ルートの研究を行っています。

また、今回のように水族館で飼育したジンベエザメを放流する際にも、データーロガーを取り付けて放流しています。

データーロガーを一度付けられたジンベエザメは一生そのままかと言うと、そうではありません。

データーロガーは早いもので数日、長ければ6か月ほどで自動で身体から外れ、海面に浮かんだところで人工衛星を介してデーターを海遊館へ送るしくみになっています。

今回の7代目海くんの例では、調査期間を1か月に設定したデーターロガーを装着しています。

今回のデーターロガーは2022年に実施したジンベエザメの研究を目的としたクラウドファンディングの支援金から購入したものだそうです。

余談ですが、このクラウドファンディング、返礼品にジンベエザメのえさやり体験やら飼育員さんから特別な話が聞けるオンライン講座があったりととても魅力的だったので、またあればいいなと思っています。

放流された海くんからジンベエザメの未来につながる研究結果が得られることに期待したいですね。

水族館のジンベエザメを放流しても大丈夫なのか

7代目海くんは約5年も水族館で生活していたわけですが、自然界に解き放って生きていけるのでしょうか。

一般的に、水族館で飼育されている生物を野生に放てば、生きていけないことも多いでしょう。

一番の問題としてエサが捕れないことが考えられます。

しかし、ジンベエザメのエサは水中を漂うプランクトンで、海遊館でも同じようにしてエサを与えられているので、エサを捕ることに問題はないと言えるでしょう。

また、水族館で飼育して大きくなったジンベエザメを放流することは、これまでも行われてきました。

このような取り組みは、海遊館だけでなくいおワールドかごしま水族館などでも行われています。

それらの際にもバイオロギング研究が行われていて、無事に太平洋を回遊していることが確認されています。

7代目海くんも元気に太平洋を泳いでいってくれるでしょう。

5年間、楽しませてくれてありがとう!

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