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冬の高級グルメとして不動の人気を誇るフグ、美味しいですよね。
美味しいけど、フグって毒があるんですよね。
フグに毒があるのは有名ですが、フグの毒って一体どんなものなのでしょうか。
フグ毒にまつわるトリビアを集めてみました。
フグにはなぜ毒があるのか
フグの毒とは
フグの毒はテトロドトキシンという猛毒です。
青酸カリの500~1000倍もの毒性を持っています。
人間の致死量はわずか1~2mgとされ、なんとトラフグ1匹で10人分の致死量に相当するのです。
テトロドトキシンは神経や筋肉に作用して、全身に麻痺を生じます。
厄介なことに、フグによってテトロドトキシンを持っている部位は異なり、専門的な知識を持たずにフグを調理することは非常に危険です。
テトロドトキシンは熱にも強く、酸にも強いので、完全に除去する必要があります。
フグの毒はどこからきたの?
実はフグはもともとは毒を持っていません。
フグの体内に毒成分を作る器官はなく、毒を食べることによって体内に溜め込んでいるのです。
テトロドトキシンを生成するのは、ビブリオ菌などの海洋細菌です。
これらの菌を貝などが摂取し、その貝をフグが食べることによって、フグの体内に蓄積され、濃い毒となります。
このように生物濃縮によってテトロドトキシンを有するのはフグに限ったことではありません。
アカハライモリやヒョウモンダコなども同様にテトロドトキシンを持っています。
フグで遊ぶイルカ
イルカはフグを何に使っているの?
イルカがフグをくわえたり、くちばしでつつきまわして遊ぶ姿がイギリスBBCの番組で放映され、話題となりました。
イルカはフグを食べるわけではなく、ひとしきり遊んだら捨ててしまいます。
イルカは大変知能の高い動物で、魚やクラゲなどで遊んでいるところをたびたび目撃されています。
フグもほかの魚でするのと同じように、ボール感覚で遊んでいたのかもがしれませんが・・
よく見ると、フグをくわえたイルカが恍惚とした表情をしているではありませんか。
このような行動は何度か目撃されており、フグで遊んだ後のイルカたちは水面に浮かんでじっとしていたとの報告もあります。
このことから、イルカたちは少量のフグ毒を摂取して、ハイになっていたのではないかと言われています。
イルカはフグを麻薬として使っていたのですね。
しかし、フグ毒であるテトロドトキシンに幻覚作用があるかどうかはわかっておらず、イルカがフグをキメていたのか単に遊んでいただけなのかは謎のままです。
イルカの生態はこちらもチェック
フグで遊ぶのはイルカだけ?
フグで遊ぶのはイルカに限ったことではありません。
なんと、人間も、フグの毒で遊んでいた歴史があります。
江戸時代、フグを食べることは禁じられていましたが、庶民を中心にフグは食されていました。
江戸っ子たちの間では度胸試しとしてフグを食べる、ということまで行われていたのです。
「雪の河豚豈一命を惜しまんや」(雪の季節のフグはめっちゃ美味しくて命を惜しんで食べないなんてないよね)という有名な川柳がありますが、命を懸けてまで食べたいものだったのですね。
現代でも「フグは痺れるくらいがうまい」と言って、ごく少量の卵巣や肝臓を食べてピリピリするのを楽しむという方がいます。
フグ毒には神経系への麻痺作用があるので、ピリピリするということは毒があるということ。
これは大変危険な行為で、実際亡くなった方もいます。絶対にやめてくださいね。
フグ毒が効かない生物
フグにフグ毒は効くの?
フグの毒であるテトロドトキシンは生物が持つナトリウムイオンチャネルと結合し、細胞同士の情報伝達を阻害することによって、その生物の神経系に作用します。
これが中毒となった状態です。
フグの持つナトリウムイオンチャネルは、人間などのほかの生物と異なるため、フグ自身の持つ程度のテトロドトキシンで中毒となることはありません。
しかし、無敵と言うわけではなく、高濃度のテトロドトキシンを人為的に与えると中毒死してしまうのです。
ウツボにフグ毒は効かない?
フグはその毒性から、捕食者から避けられ、天敵がいないとされてきました。
しかし、近年ウツボがクサフグを捕食しているところがたびたび目撃され、ウツボはクサフグを狙って捕食しているのだと考えられるようになりました。
なお、ウツボに直接テトロドトキシンを注射すると中毒死してしまうそうです。
ウツボの消化器官に何らかしらの解毒システムがあるのではないかと考えられますが、詳しくはまだ解明されていません。
フグの毒を食べてしまったら
フグ毒患者は土に埋める、は有効か
時代劇などで、フグ毒にあたった人を土に埋めているのを見たことがある方もいるかもしれません。
昔から、フグ毒の対処法にはさまざまな民間療法がありました。
その中でも最も有名なのがこの「土に埋める」というものですが、果たして効果はあるのでしょうか。
フグ毒にあたると、血圧の低下を起こすので、土に埋めることによって末梢神経を圧迫し、血圧の低下を防ごうとしたようです。
また、フグ毒が筋肉に作用して、呼吸ができなくなるため、胸部を固定し呼吸をしやすくする目的もありました。
一見異様な民間療法にも、ちゃんと意味があったのですね。
しかし、民間療法の効果は定かではありませんので、試したりせず一刻も早く病院へ行きましょう。
フグ毒の対処法
フグの毒はフグを触ったり、嚙まれたりすることで害があるようなものではありません。
フグ毒を食べなければ問題がないのですが、フグ毒による食中毒は現代でも毎年発生しています。
その多くは自分で釣ったフグを無免許で調理したことによって起こっています。
フグを勝手にさばくことは絶対にやめましょう。
フグ毒にあたると、わずか20分から3時間程度でしびれや麻痺を生じます。
もし、あたってしまったらすぐに病院で適切な処置をしてもらってください。
フグ毒に対する解毒剤などはなく、体外に排出されるのを待たなくてはいけません。
その間、病院では毒を体外に出すための胃洗浄や利尿促進、人工呼吸器で呼吸を確保するなどの対症療法が行われます。
フグ毒にあたったらただちに病院へ
安心安全にフグを食べる
フグを取り扱うための規定
フグは安全に食べることができる種類や部位を厚生労働省によって定められています。
同じフグでも獲れた地域によって食べることができないとされている種類もいます。
フグをさばくには免許が必要で、その要件は都道府県の条例によって異なります。
無免許でフグを提供した場合、懲役や罰金などの刑罰を科されることもあります。
素人が自分で食べる目的でフグをさばき、法律違反で罰せられるということはありませんが、非常に危険な行為なのでやめてください。
フグの産地はどこ?
フグの漁獲量TOP3
1位 北海道 927t
2位 石川県 466t
3位 山口県 287t
令和2年度農林水産省漁業・養殖業生産統計より
フグの漁獲量が多いのは、北海道で年々その量は増えています。
「能登ふぐ」で有名な石川県、ふぐの本場として名高い下関のある山口県が2位、3位と並んでいます。
安心安全に美味しいフグを食べたいですね。
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