長きにわたる戦国時代において天下統一を果たし、江戸長期政権の礎を作った徳川家康。
2023年にはNHK大河ドラマ「どうする家康」が放映され、注目を浴びています。
家康は長生きだったことでも有名ですよね。
その長寿の秘訣はなんとあの動物だったかもしれない!
と言うわけで、家康も使ったとされるオットセイの薬とは、一体どんなものだったのかご紹介します。
徳川家康も愛用するオットセイ薬とは
健康オタクの徳川家康
戦国の覇者徳川家康は健康オタクとしても有名でした。
粗食を心掛け、薬の調合も行い、健康には常に気を配っていました。
そんな家康は75歳でその生涯を終えるまで、ほぼ現役。
当時の75歳は今の感覚では100歳程度と考えられます。
「鳴くまで待とう時鳥」とも例えられますが、まさに長生きしたからこその天下統一だったと言えるでしょう。
子沢山でもあり、16人の子どもを設けています。
そんな家康が晩年目を付けたのがオットセイでした。
中国や朝鮮半島ではオットセイを薬として利用しているという情報を仕入れた家康は、自らも入手して使用するようになったのです。
オットセイ薬ってどんなもの
オットセイ薬は「海狗腎(かいくじん)」と呼ばれ、オスのオットセイの生殖器を乾燥させて作られます。
滋養強壮、強精に良いとされています。
なぜオットセイなのか
オットセイは一夫多妻制で、一頭のオスがメス20~60頭もを抱えるハーレムを作ります。
ハーレムのオスは何百頭という子どもを残すのです。
このことから、オットセイは強精の生き物として名をはせ、漢方薬として利用されるようになりました。
しかし、実はハーレムを作ることができるオスは全体の2割に過ぎません。
ハーレムを作ることができるのはオスたちの戦いに勝ち抜いた者のみなのです。
戦いに敗れたオスたちはオス同士で集団を作り、ひっそりとその生涯を終えます。
なんとも厳しいオットセイ社会ではありませんか。
オットセイの入手先
家康はどのようにしてオットセイを手に入れていたのでしょうか。
松前藩が徳川家康に献上した記録が残っています。
松前藩は蝦夷地(北海道)にあった藩で、アイヌとの交易を独占していました。
松前藩はアイヌとの交易によって入手した「海狗腎」を2度にわたり家康に献上したとされています。
「オットセイ将軍」と呼ばれた徳川家斉
家康のみならず、11代将軍である徳川家斉もまたオットセイ薬の愛用者でした。
家斉は15歳で将軍の座に就き、歴代最長の50年の在任期間を誇りました。
そんな家斉ですが、何と言っても子沢山の将軍として有名です。
正室のほか大奥に20人以上の側室を囲い、設けた子どもの数は50人以上。
そのほか「お手付き」の女性も多数おり、史実に残らない子どももいるかもしれません。
50代でもコンスタントに子どもを設け、最後の子どもは55歳の時に産まれています。
超・元気な家斉は在職50年の間病気になることもほとんどありませんでした。
家斉がオットセイ薬を愛用していたことは有名で、「オットセイ将軍」とも呼ばれていたのだそうです。
日本にいるオットセイ
オットセイの種類
オットセイはキタオットセイ属とミナミオットセイ属に分かれます。
キタオットセイ属は北太平洋に分布しているのに対し、ミナミオットセイ属はアフリカ大陸やオーストラリア大陸の南岸に見られます。
キタオットセイの南限
オットセイのうちキタオットセイは、オホーツク海やベーリング海に生息していて、プリビロフ諸島(アラスカ州)、コマンドル諸島(ロシア)、千島列島などを繁殖地としています。
冬になるとロシア海域にいたオットセイが南下してきて、北海道や三陸沖で見られるようになります。
春には黒潮の南下にともなって、これらのオットセイも南下します。
黒潮と親潮の交わる海域にはオットセイのえさとなるイカやサバなどの魚が豊富であるため、とりわけ妊娠中のメスがえさを求めてやって来るのです。
このため千葉県の銚子沖がキタオットセイの南限と言われています。
オットセイを捕まえてもいいの?
臘虎膃肭獣猟獲取締法、何て読むの?
「臘虎膃肭獣猟獲取締法」と書いて「らっこおっとせいりょうかくとりしまりほう」と読みます。
「臘虎」が「ラッコ」、「膃肭獣」が「オットセイ」を指しているのですね。
1912年(明治45年)に制定された法律ですが、何度かの改正を経て現在も有効です。
内容は、日本国内におけるラッコとオットセイの猟獲に加えて、毛皮の製造や販売を制限するものとなっています。
つまり、ラッコやオットセイを捕まえたり飼ったりすることは原則できません。
違反すると懲役や罰金などの罰則もあります。
日本の水族館にいるラッコやオットセイは水産庁の許可を得て飼育されています。
ラッコの記事はこちら
オットセイ薬はもう作れない?
オットセイの捕獲が禁止されているとなると、もうオットセイ薬を作ることはできないのでしょうか・・
実は、現在もオットセイ薬は販売されていました!
ヴィタリス製薬株式会社がオットセイを配合した男性用精力剤を販売しています。
「臘虎膃肭獣猟獲取締法」制定後も、生態研究調査を目的として、一部オットセイは猟獲されています。
ヴィタリス製薬ではそのようなオットセイの肉や内臓を、水産庁の許可のもと入荷しているそうです。
現代のオットセイ薬は家康が使ったものとは製法が異なりますが、強靭なオットセイにあやかれることには変わりありません。
江戸時代の将軍様が愛用したオットセイの力が現代でも利用されていたとは!これには驚きました。
※オットセイ薬は成人男性用です。ご使用の際は商品記載の用法用量を守って正しくお使いください。
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