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川に大型のネズミが泳いでいて、「!?」っとなった経験はありませんか?
「野生のカピバラがいる!」と思ってしまいがちですが、あれはヌートリアという生き物なんです。
ヌートリアとはどんな動物なの?カピバラとの違いは?どうして日本の川にいるの?
気になるあいつについてまとめてみました。
ヌートリアとは
ヌートリアの生態
ヌートリアは南米原産の大型げっ歯類です。
体長は50センチ前後、ドブネズミなどに似た形態で、長い尾を持っています。
門歯(前歯)がオレンジ色をしており、長く鋭いのが特徴的です。
追いつめられるとその歯で激しく噛み付き、人間の指なら軽く引きちぎるくらい力は強いです。
水辺に生息し、後ろ足にのみ水かきを持っています。
主に水生植物や淡水の貝を食べる雑食性です。
特定外来生物ヌートリア
もともと日本にヌートリアは生息していませんでしたが、第二次大戦中に輸入され、その後野生化しました。
野生化したヌートリアは農作物を食害するなどし、深刻な問題となっています。
そのため、2005年には外来生物法によって特定外来生物に指定され、日本の侵略的外来種ワースト100にも選定されています。
カピバラとヌートリアの違い
カピバラとヌートリアは一見似ていますが、大きさやしっぽ、特徴的な歯などから見分けることができます。
日本に野生のカピバラはいないので、河川敷で見かけた場合はヌートリアとみて間違いないでしょう。
カピバラとヌートリアの違いまとめ
カピバラ | ヌートリア | |
体長 | ブタ程度 | タヌキ程度 |
しっぽ | なし | 長い |
歯 | 乳白色 | オレンジ |
食性 | 草食 | 雑食 |
性格 | 温厚 | 凶暴 |
個人飼育 | 可能 | 禁止 (特定外来生物のため) |
日本での野生化 | 不可能 | 大繁殖 |
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ヌートリアはなぜ日本にいるのか
ヌートリアの毛皮利用
ヌートリアは飼育・繁殖が容易、安価で上質な皮を手に入れることが出来るということで、第二次世界大戦ごろ世界各国で飼育されるようになりました。
日本にも1939年フランスから移入され、主に軍用の防寒着として利用されました。
その時、ヌートリアは縁起を担いで「沼狸」(しょうり)と名付けられ重宝されました。
しかし、戦後需要のなくなったヌートリアは野外に捨てられてしまいます。
1950年代の毛皮ブームの際も、ヌートリアの飼育が流行りましたが、ほどなく毛皮価格の暴落が起き、飼育できなくなったヌートリアがまたまた放たれてしまいました。
繁殖力の高いヌートリア
ヌートリアはもともと繁殖力が高く、年に2、3回一度に平均5匹の子供を産みます。
加えて、ヌートリアにとって日本は天敵がおらず、まさに楽園だったため、西日本を中心に野生で大繁殖してしまいました。
本来ヌートリアは夜行性ですが、天敵のいない日本では昼も夜もなく活動しています。
ヌートリアの被害が拡大している
ヌートリアによる被害
増えすぎてしまったヌートリアは日本の在来種である植物や昆虫、水鳥の生息域を荒らし、生態系を脅かす存在となっています。
ヌートリアが土手や堤防に巣穴を作ることで、漏水するなどの被害も出ています。
2019年の西日本豪雨の際には、岡山県でヌートリアの巣穴が原因となってため池が部分崩落しており、災害時の被害拡大にも繋がりかねません。
深刻なのは農作物への被害で、被害額は令和2年度の全国で4800万円にも及びます。
一時は1億を超える被害額となっていましたが、自治体や農家の方の懸命な対策によって被害を減らすことが出来ました。
しかし、ヌートリアが人間にとって害獣であることに変わりはありません。
ヌートリアがレプトスピラ症などの伝染病を媒介する可能性もあります。
エサを与えたり、安易に近づかないようにしましょう。
ヌートリアの捕獲と駆除
ヌートリアは鳥獣保護法の対象でもあるので、個人で勝手に捕獲したり、駆除したりすることはできません。
狩猟免許を取得したり、自治体に申請して講習を受けるなどする必要があります。
ヌートリアを無許可で捕獲し、食べる様子をYouTubeで配信したところ逮捕された、という例もあります。
自治体に連絡して駆除してもらうこともできますが、緊急性の高い場合には害獣駆除を専門とする業者に駆除を依頼するのが良いでしょう。
ヌートリアを食べる
法律に則って捕獲したヌートリアであれば、食べることも可能です。
自分で捕獲しなくても猟師さんから買ったりして手に入ります。
中国や原産地南米で食用にされるほか、日本でもジビエ店で料理として提供されているケースもあり、ちゃんとした食べることのできる生物です。
味はイノシシに近い、と言われており、中国では揚げ物や炒め物に利用されます。
南米ではカピバラによる被害も
日本では野生のカピバラはいません。
カピバラにとって日本の冬は寒く、野生下で定着できないと言われています。
しかし、南米アルゼンチンでは、野生のカピバラが大繁殖し、住宅地に出没する事態も発生しています。
庭の草や植木、ゴミを食べるなどの被害に加え、交通事故の原因ともなり問題視されています。
問題となっている地区は湿原地帯を住宅地にしたもので、もともとカピバラの生息地であった場所でもあります。
人間が自然や野生動物といかに共存していくべきか。考えさせられる問題です。
ヌートリアを展示している水族館
姫路市立水族館のヌートリア展示
姫路市立水族館でヌートリアを見ることができます。
姫路市立水族館は播磨地方の身近な水生生物を展示する水族館です。
ヌートリアを展示している動物園や水族館は他になく、貴重な展示と言えます。(2022年6月現在。日本動物園水族館協会所属の園に限る。)
姫路市とヌートリアの関係
姫路市では近年ヌートリアの被害が深刻です。
2016年には姫路城のお堀に巣を作っているということでニュースになりました。
石垣の隙間にヌートリアが巣を作ってしまうと、崩落の危険性まであるそうです。
姫路市立水族館では地域と関連性の深い生き物として、ヌートリアの展示を行っているのです。
姫路市立水族館(兵庫県)
場所 | 兵庫県姫路市西延末440 (手柄山中央公園内) |
営業時間 | 9:00~17:00 |
休館日 | 火曜日(祝日の場合は翌日)、 12月29日~1月1日 |
公式サイト | 姫路市立水族館 (himeji.lg.jp) |
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