縄文人はイルカを食べていた?真脇遺跡からわかる古代の漁とは

縄文人はイルカを食べていた

日本には古くから鯨食文化があり、広くイルカ漁が行われてきました。

それでは、イルカが食べられるようになったのはいつからなのでしょうか。

能登半島にある真脇遺跡から、大量のイルカの骨が出土し、縄文人たちはイルカを食べていたことがわかりました。

さらにはイルカ漁を行っていたとまで考えられています。

縄文人たちとイルカの関係と、太古の息吹を感じる真脇遺跡の魅力に迫ります。

真脇遺跡仮面のオブジェ
真脇遺跡仮面のオブジェ

真脇遺跡から分かる縄文時代の暮らし

真脇遺跡は縄文時代前期(約6000年前)から晩期(約2300年前)のおよそ4000年間にわたり、人びとが生活してきた縄文時代の巨大集落跡です。

このように長期にわたり繫栄した集落と言うのは全国的にも珍しく、平成元年には国指定遺跡に認定されました。

真脇では豊かな海の恵みが継続的にもたらされていたため、移住する必要がなかったのだと考えられます。

この遺跡で特に注目されているのが、円状に巨大な木柱を配置した環状木柱列と大量のイルカの骨の出土です。

縄文集落のパワースポット環状木柱列

環状木柱列は北陸の縄文時代晩期の遺跡に見られる遺構です。

巨大なクリの丸太を半分に割り、それを円状に並べて配置したもので、真脇遺跡では同じ場所に6回建て替えたあとが見つかっています。

大変目を引くサークルですが、何をするための場所であったのかはわかっていません。

一説には何らかの祭祀が行われていたのではないかと言われています。

このウッドサークルは近年、その神秘性からインスタグラムなどでもパワースポットとして注目されています。

環状木柱列
環状木柱列

イルカの骨が出土した「イルカ層」

真脇遺跡の前期末葉から中期初頭の地層からおよそ300頭ものイルカの骨が出土しています。

この層は「イルカ層」と呼ばれていますが、イルカの骨は別の年代の層からも発見されており、さらに何千頭ものイルカが眠っているのではないかと言われています。

出土したイルカには解体されたような形跡があり、縄文人たちはイルカを食べていたと考えられます。

骨を加工して道具としたり、油は燃料、加工した肉は重要な交易品としても利用されたことでしょう。

豊かな恵みをもたらすイルカは真脇の人々の暮らしを支え、集落の4000年もの繁栄につながりました。

縄文人のイルカ漁の方法とは

真脇遺跡から出土しているイルカの割合はカマイルカが56%、マイルカが35%とほぼこの2種類で占められています。
他に出土しているのはバンドウイルカやゴンドウクジラです。

マイルカであれば湾内に入ったところを抱きかかえるようにして、道具を使わずに捕まえることができるとされています。

しかし、カマイルカはそのような方法で捕獲することはできません。

出土したイルカの骨を調べたところ石器が刺さったとみられる跡がみつかり、漁をしていたと考えられるようになりました。

このことから、真脇は「日本漁業発祥の地」と言われています。

カマイルカ
カマイルカ

イルカ送りの儀式とは

イルカの骨が多数出土したイルカ層からは、トーテムポールのような木の柱が出土しており、これがイルカを祀る儀式に使われたのではないかと考えられています。

アイヌの文化に「イオマンテ」というものがあります。

主にクマを狩猟した際に行われる儀式で、一連の儀式を通して自然の神々のもとへ返すものとされています。

真脇の縄文集落でも同じようなイルカ送りの儀式が行われていたのではないかと推測されているのです。

能登地方では昭和初期までイルカ漁がおこなわれてきました。

真脇遺跡から北に少し行った珠洲市にある高倉彦神社は、イルカ漁の守り神とされています。

古くは毎年その年に初めて捕れたイルカが高倉彦神社に奉納されてきました。

古来よりイルカを自然の恵みとして感謝する文化が息づいている証拠と言えるでしょう。

ほかにも北陸日本海沿岸部にはイルカを奉納したとされる神社が点在し、地域の人々にとってイルカがいかに大切な食糧源だったのかがうかがえます。

カマイルカの群れ
カマイルカの群れ

真脇遺跡へのアクセス

真脇遺跡は石川県の北部、能登半島の東海岸にあります。

能登半島は、NHK連続テレビ小説「まれ」の舞台として、その美しい景観が全国的に有名になりました。

のとじま水族館や温泉などもあり観光にぴったり。絶景に癒されること間違いなしです。

能登半島の観光には能登半島中央にある能登空港からレンタカーの利用が便利です。

真脇遺跡縄文館(石川県)

場所石川県鳳珠郡能登町字真脇48-100
営業時間9:00~17:00
休館日毎週月曜日・火曜日・年末年始
公式サイト国指定史跡真脇遺跡 (mawakiiseki.jp)

併設の体験館では、土器作りの体験なども行っています。詳しくは公式サイトをご覧ください。

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