当サイトはプロモーションを含みます。
東京湾にクジラが泳いでいるのが発見されました。
年明けから続く普段見られない場所での海洋生物の発見。
これは一体何が原因なのでしょうか。
良くないことの前兆でないと良いのですが・・
大地震の前兆と言われ始めたわけと、その真相を探りたいと思います。
東京湾にクジラ現る
東京湾に現れたクジラ
2023年1月19日、東京湾を航海中の船舶からクジラを発見したとの通報がありました。
クジラは潮を吹いたり水中に潜ったりしていて、体長12m超と推定されています。
背びれの特徴などからザトウクジラであるとみられます。
クジラが発見された場所
クジラが発見された場所は、東京湾アクアライン上にある人口島「風の塔」付近です。
船舶の往来も多い海域なので、接触事故がないよう注意が呼びかけられています。
クジラが発見された少し前には、羽田空港滑走路の岸壁でトドが発見されましたが、地図で見るとかなり近い場所となっていますね。
あわせて読みたい
クジラが東京湾に来た理由
ザトウクジラの生息地に近い
ザトウクジラは夏場はアリューシャン列島やオホーツク海などの冷たい海で暮らしていますが、冬から春にかけて熱帯から亜熱帯の海域に移動して繁殖活動を行います。
日本では沖縄や小笠原諸島で見ることができます。
これらの地域では高い確率でザトウクジラを見ることができ、ホエールウォッチングが盛んにおこなわれています。
ザトウクジラは増えている
かつてザトウクジラは乱獲され、一時は数を減らしていました。
捕鯨が禁止されるとザトウクジラの生息数は回復し、現在は絶滅のおそれは低いとされています。
しかし、国際的な批判などから資源利用の再開は難しい状況です。
海水温の上昇
近年、海水温の上昇や個体数の増加からザトウクジラの生息域が拡大していると言います。
5年ほど前から、小笠原諸島のザトウクジラが北上して伊豆諸島でも頻繁に見られるようになっていました。
横須賀や鎌倉の海岸にザトウクジラの死骸が漂着するケースも起きています。
クジラの座礁は大地震の前兆か
東日本大震災前のクジラ大量座礁
2011年に世界で発生した2つの大きな地震の前に、クジラの集団座礁が発生していました。
- 2011年2月20日ニュージーランドスチュワート島におけるオキゴンドウ107頭の集団座礁→2月22日同国でカンタベリー地震(M6.1)発生
- 2011年3月4日茨城県下津海岸におけるカズハゴンドウ52頭集団座礁→3月11日東日本大震災(M9.0)発生
これらの事例からクジラの座礁、とりわけ集団での座礁は大地震の前兆ではないかと騒がれるようになりました。
下津海岸で座礁したカズハゴンドウは22頭は海に返され、30頭は残念ながら死亡してしまいました。
クジラの座礁と地震の関係は「迷信」
クジラの集団座礁と大地震の発生について相関関係があるのかどうかについては学術的に研究がなされています。
2018年に東海大学織原特任准教授らのチームによって「相関関係があるとは言えない」と発表されました。
1923年からのクジラの集団座礁48事例を検証した結果、地震は座礁とは関係なく発生しており、前兆をとらえているとは言い難いと結論付けられたのです。
クジラの座礁は多い
実は、クジラの座礁は報告があったものだけでも年間600件以上発生しています。
その中には生きているものもいれば、死んで漂着したものも含まれます。
日本近海には多数のクジラが回遊していると考えられ、死亡するものもたくさんいるはずです。
クジラが迷い込んできたり、クジラの死骸が流れ着くということは、特別珍しいことではないのです。
かつてクジラは吉兆とされていた
クジラで七浦潤う
日本では古来から鯨食文化があり、「クジラ一頭で七浦潤う」と言われてきました。
つまり、クジラを一頭獲れば七つの浦(ここでは漁村のこと)が豊かになるほど経済効果があったのです。
座礁クジラは「寄り鯨」と呼ばれ、寄り鯨があると、村人総出で浜に出向きました。
豊かな富をもたらしてくれるクジラに対し、人びとは感謝し、祀るようになりました。
捕鯨が行われてきた地には鯨塚がつくられ、鯨を鎮める祭りも今に伝えられています。
神格化されるクジラ
クジラはそれ自体が資源であると同時に、エサである魚を湾に引き込むため、豊漁の兆しとして捉えられるようになりました。
漁業の神様である恵比寿信仰と結びつき、クジラを「えびす」と呼ぶようになりました。
このようなクジラ信仰は日本各地で見られます。
まとめ
クジラの座礁や漂流はかつては吉兆とされており、不気味なことであると捉えられるようになったのは最近のことです。
クジラやその他海洋生物の出現が大地震の前兆であるとは考えにくいかと思います。
しかし、クジラとは関係なく日本は地震の多い国で、大地震がいつ来るかわからない現状です。
これを機会に防災について見直しを図ってみるのも良いでしょう。
また、クジラが現れた原因と思われる海水温の温暖化や、個体数の増加による漁業への影響についても考えてゆくきっかけになれば良いと思います。
あわせて読みたい