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水族館に行くと、アシカがショーをしているのをよく見ますね。
かと思えば、別の場所に似たような生物が展示されていて、「この生き物は何だろう」と思った経験はありませんか?
それってアザラシ、いやトドかも・・
なんとなくわかっているようで、わかりにくいアシカとアザラシの違い、さらにはセイウチ、トド、オタリア、オットセイまで鰭脚類といわれる動物を見分ける方法を全部まとめて解説します!
アザラシもアシカも鰭脚類
鰭脚類とは
アザラシとアシカは同じ鰭脚類の仲間です。
鰭脚類は「ききゃくるい」とも「ひれあしるい」とも読まれます。
鰭脚類とは、水中生活に適するように四肢がひれ状に発達した海棲哺乳類です。
おもに水中で魚類やイカ、甲殻類などを捕食して生活していますが、繁殖期は陸上や氷上で過ごします。
鰭脚類の仲間
鰭脚類に属しているのはアザラシ科、アシカ科、セイウチ科の3つのグループです。
鰭脚類には、アザラシ科19種、アシカ科14種、セイウチ科1種が存在します。
- アザラシ科
- ゴマフアザラシなど
- アシカ科
- アシカ
- トド
- オタリア
- オットセイ
- セイウチ科
- セイウチ
鰭脚類の祖先
かつて鰭脚類のうち、アシカとセイウチはクマに近縁な生物から、アザラシはイタチに近縁な生物から進化したと考えられてきました。
現在主流となっているのは、鰭脚類はすべて2400万年~2200万年前北米を中心に生息していたエナリアークトスという生物から進化したという説です。
エナリアークトスは水中生活への適応を示す鼻腔の拡大などが見られる反面、クマに近縁のアンフィキオンの特徴と共通する部分も多くみられます。
このことから、クマに近いアンフィキオンの中から、水中生活に適応したエナリアークトスという生物が誕生し、そこからアザラシ・アシカなどへと分かれて行ったと考えられます。
しかし近年、味覚遺伝子の研究などからやはりアシカやセイウチとアザラシは別系統から進化したのではないかという研究結果が発表されています。
新たな発見や研究による真相解明が待たれています。
アザラシ、アシカ、セイウチの違い
アザラシとアシカの違い
アザラシは体脂肪が50%程度もあり、ずんぐりとした体格が特徴です。
アザラシは寒い時や泳ぐ時、もともと短い首を縮めてしまうので、まさに饅頭のような形になります。
アシカはアザラシに比べて首が長く、ややスリムな体型をしています。
アザラシの耳には耳介(耳たぶ)がありません。
アザラシの耳は穴があいているだけですが、ちゃんと音を聞くことができます。
一方、アシカには耳たぶがあります。
アザラシの前脚は小さく、陸上で身体を持ち上げることができないので、地面に身体の大部分が接しています。
一方、アシカは前脚が発達しているため、身体を持ち上げて四つ足歩行することができます。
アシカの前脚の力は強く、岩場をのぼったりすることも出来ます。
歩くことができないアザラシは、芋虫のように身体を動かして、這って移動します。
アザラシは後脚を折り曲げることができません。
対してアシカの後脚は前方に折り曲げることができます。
陸上を移動するときは、後脚を折り曲げて4本の脚で歩きます。
水族館のショーではアシカが後脚だけを使って立つパフォーマンスが行われることもあります。
陸上での様子を見ると、アザラシ何もできんやん・・と思ってしまいますが、実は泳ぎはアザラシの方が得意です。
アザラシは大きな水かきのある後脚を交互に左右に振って泳ぎます。
アシカは前脚を羽ばたくように動かして泳ぎます。
アザラシの泳ぎ方が多くの水棲生物の動きに近いことからもわかるように、アシカに比べてアザラシの方が水中生活に適した進化を遂げており、長時間水中を移動するのに適しています。
アザラシの四肢にはしっかりとした爪があります。
アザラシはこの爪を身体を掻いたり、氷上でのすべり止めとして使っています。
アシカ(セイウチも)の脚には爪はほとんど見られません。
まったくないわけではなく、特別用途のない小さな爪があります。
- まるまるとした体型
- 耳たぶがない
- 前脚で身体を持ち上げることができない
- 陸上を這って移動する
- 後脚を左右に振って泳ぐ
- しっかりとした爪がある
- ややスリムな体型
- 耳たぶがある
- 前脚で身体を持ち上げることができる
- 四つ足歩行
- 前脚を使って泳ぐ
- 爪がほとんどない
アザラシについてもっと詳しく
セイウチの特徴
セイウチは北極海に生息する大型の鰭脚類です。
オスで体長2.7~3.5m・体重880~1500㎏、メスで2.5~2.7m・体重580~1000㎏ほどになります。
セイウチの最大の特徴ともいえるのが大きな牙です。
牙はオスだけでなく、メスにも生えています。
セイウチの牙は生後7か月ごろから生え始め、一生涯伸び続けます。
最長でオスは1m、メスは80㎝にも達します。
牙はセイウチ同士の争いや、天敵であるホッキョクグマと闘う際に使われます。
また、氷に牙を引っかけて支えにして登るといった用途もあります。
水族館に行くと、牙のないセイウチに出会うことがあります。
虫歯や歯髄炎になり牙を抜くことはよくあるのだそうです。
特に牙の神経が炎症を起こす歯髄炎は、放っておくと命を落とすこともあります。
牙を抜く時は麻酔をする手術となりますが、牙を抜いたからと言って水族館の生活で困ることはなく、むしろ元気に暮らしているようです。
セイウチの口周りには400~700本ものヒゲが密集して生えています。
このヒゲは「感覚毛」と言って、神経の通った器官になります。
セイウチは視覚が弱く、ほとんど見えません。
代わりにこのヒゲを使って海底にある貝などを探し出して食べているのです。
セイウチの皮膚は大変分厚く、厚い部分はオスで5㎝に達することもあります。
この分厚い皮膚のおかげで、天敵のホッキョクグマに少しくらい襲われても致命傷を受けることはないのです。
セイウチの皮膚にはしわが多く、象のような印象です。
セイウチを漢字で書くと「海象」ですが、牙があることに加え、皮膚の質感も象に大変良く似ています。
セイウチにもアザラシ同様耳たぶがありません。
- 大型
- 牙がある(水族館にはないものもいる)
- ヒゲが密集している
- 象のようなしわの多い皮膚
- 耳たぶがない
アザラシ、アシカ、セイウチの見分け方
アザラシとアシカとセイウチは科も違う生物なので、見分けることは難しくありません。
色々と特徴を挙げましたが、ぱっと見てわかる見分け方をご紹介します。
- 牙がある、皮膚がしわしわ→セイウチ
- 耳たぶがある、スリム→アシカ
- 四つ足歩行ができない、丸い→アザラシ
これだけおぼえておけば、動物園や水族館で簡単に見分けることができますね。
アシカ科(アシカ・トド・オタリア・オットセイ)の違い
アシカ科の仲間
アシカ科の生物にはアシカ、トド、オタリア、オットセイがいます。
ほかの鰭脚類と異なり、小さな耳介(耳たぶ)を持っているのが特徴です。
メスとオスで大きさが大きく異なり、オスは重量にして4倍程度身体が大きくなります。
知能が高く、人になつきやすいので、水族館などで芸を披露することも多いです。
アシカの特徴
アシカと呼ばれる生物にはニホンアシカ、カリフォルニアアシカ、ガラパゴスアシカ、オーストラリアアシカ、ニュージーランドアシカがいますが、世界中の水族館で飼育されているのは主にカリフォルニアアシカです。
よって、一般的にアシカと言えばこのカリフォルニアアシカを指すこととなります。
カリフォルニアアシカは北東太平洋や、北アメリカ大陸西岸に生息しています。
色は褐色ですが、メスのほうがやや明るい色をしています。
毛足は短く、一見するとツルツルしたような印象を受けます。
鼻先が細長く、小さな耳たぶをもっています。
成熟したオスは、前頭部がこぶのように盛り上がり、首周りにたてがみ状の長い毛が生えます。
- 毛足が短い
- 鼻先が長い
トドの特徴
トドはアシカ科の中で最大の生物です。
オスは最大で体長3m・体重1000㎏、メスは体長2.3m体重270㎏ほどにまで成長します。
トドの色は褐色または赤褐色です。
成熟したオスは額が盛り上がり、上半身が大きくなります。
また、後頭部の毛が伸びて、たてがみのようになります。
冬になると北海道や、時に東北でも野生のトドが見られることがあります。
トドの鳴き声はとても大きく、数キロ先でも聞こえます。
鴨川シーワールド(千葉県)に隣接するホテルでは、館内のトドが朝早くから鳴き始め、トドの声で目覚めるという貴重な体験ができます。ぜひ泊まってみてください。
- 大型
- オスは上半身が肥大化しており、特に大きい
オタリアの特徴
オタリアはアシカより大きく、トドよりは小さいサイズです。
アシカに比べて耳たぶが短いことや、鼻先が丸いことから見分けることができます。
色は茶褐色や黒色で、トド同様オスにはたてがみがあります。
アシカに比べて気性が荒く、ペンギンや同じアシカ科のオットセイを襲って食べることもあります。
オタリアは南アメリカの海岸に生息しており、最大の捕食者はシャチです。
凶暴なオタリアですが、知能が高く、芸を覚えることもできます。
水族館のショーの中心であったカリフォルニアアシカの輸出入が禁止されたため、代わりにオタリアが調教され、各地で芸を披露するようになりました。
- トド>オタリア>アシカ
- 耳たぶが特に短い
- 鼻先が丸い
オットセイの特徴
オットセイはアシカに比べてやや小さいサイズです。
北太平洋に生息するキタオットセイとアフリカ大陸やオーストラリア大陸の南岸に生息するミナミオットセイに分類されます。
キタオットセイは北海道などでも見られます。
毛の色は黒色に近く、長い毛足をしています。
さらにオスはたてがみ状の毛があるのでかなりモフモフした印象です。
鼻先は尖っていて、アシカに比べて耳たぶが長いのが特徴です。
- アシカよりも小さい
- 毛足が長い
- 鼻先が尖っている
- 耳たぶが長い
オットセイの記事はこちら
アシカ・トド・オタリア・オットセイの見分け方
アシカ・トド・オタリア・オットセイはすべてアシカ科の仲間なので見分けるのは少し難しくなってきます。
違いに注目して、じっくりと観察してみてください。
- とにかく大きい→トド
- ブルドッグのような顔→オタリア
- 毛がモフモフ、耳たぶが長い→オットセイ
- 毛がツルツルした印象、鼻先が尖っている→アシカ
トドとセイウチの見分け方
アシカ科のトドとセイウチ科のセイウチですが、どちらも大型で見分けがつきにくいという話も聞きます。
と言うわけで、トドとセイウチのかんたんな見分け方をまとめました。
- 牙がある→セイウチ
- 牙がない→トドまたは牙を抜かれたセイウチ
- 体毛が多い、耳たぶがある→トド
水族館には「牙を抜かれたセイウチ」が結構いるので注意が必要ですね。
アザラシのショーがある水族館
- おたる水族館(北海道)※夏季のみ
- しながわ水族館(東京都)
- 箱根園水族館(神奈川県)
- 城崎マリンワールド(兵庫県)
アシカショー(オタリアショー)があるおもな水族館
ショーの中心はカルフォルニアアシカですが、水族館によっては「アシカショー」という名前でもオタリアが出演しているところもあります。
- 登別マリンパークニクス(北海道)
- おたる水族館(北海道)
- しながわ水族館(東京都)
- 鴨川シーワールド(千葉県)
- のとじま水族館(石川県)
- 竹島水族館(愛知県)
- 南知多ビーチランド(愛知県)
- 伊勢シーパラダイス(三重県)
- 鳥羽水族館(三重県)
- 城崎マリンワールド(兵庫県)
- アドベンチャーワールド(和歌山県)
- 宮島水族館(広島県)
- 海響館(山口県)
- 新屋島水族館(香川県)
- マリンワールド海の中道(福岡県)
トドのショーがある水族館
- おたる水族館(北海道)※夏季のみ
- 城崎マリンワールド(兵庫県)
トドショーの記事はこちら
オットセイのショーがある水族館等
- 登別マリンパークニクス(北海道)
- しながわ水族館(東京都)※アシカショーに出演
- 東武動物公園(埼玉県)
- 鳥羽水族館(三重県)※アシカショーに出演
セイウチのショーがある水族館
- 伊勢シーパラダイス(三重県)
- 鳥羽水族館(三重県)
大分マリーンパレス水族館うみたまご(大分県)
※動物の体調などによって、ショーが終了または休止になる場合があります。最新の実施状況は公式サイトなどでご確認ください。
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